
ヤマハは欧州で、クロスプレーン並列2気筒エンジンを搭載するアドベンチャークロスオーバー「TRACER 7」「TRACER 7 GT」の2025年モデルを発表した。デザインを一新したほかエルゴノミクスの見直し、足まわり強化、電子制御スロットルの採用など多岐にわたる変更を受けている。
●文:ヤングマシン編集部(ヨ)
総合力を高めたスポーツツーリング
欧州でのみ販売される「TRACER 7」および「TRACER 7 GT」の2025年モデルが登場した。マイナーチェンジを受け、心臓部を共有する最新MT-07と同様に電子制御スロットルを採用し、倒立フロントフォーク、新型5インチTFTフルカラーメーターなどを装備をアップグレード。ただし最新MT-07が採用したY-AMTの投入は見送られている。
まずはエンジンまわりから。ユーロ5+に準拠した最新270度クランク2気筒は、アシスト&スリッパークラッチの採用でクラッチレバー操作力を従来から約22%低減。電子制御スロットルは正確なスロットルレスポンスを実現するとともにYRC(ヤマハライドコントロール)の実装を可能にした。
YRCでは、ライダーの好みや路面状況に合わせて3段階に調整可能なライディングモードを備え、2段階の調整可能なトラクションコントロールはオン/オフも可能だ。
また、クルーズコントロールを新たに搭載したこともトピック。3速以上、40km/h以上で利用可能となり、走行状況に応じて1km/hまたは10km/h単位で速度を調整できる。
車体まわりでは、高張力鋼製バックボーンフレームが剛性バランスを調整するために再設計されたほか、スイングアームは新設計&40mm延長。またフロントには新たにφ41mm倒立フォーク(従来は正立)とラジアルマウントキャリパーを採用し、ロードホールディングとコントロール性を高めている。なお、倒立フォークは伸び側減衰力を18段階に調整可能だ。タイヤはミシュラン・ロード6を採用した。
ライディングポジションも改良され、ハンドルバーグリップは30mm高く、また左右それぞれ25mm広くなったことで、より上体の起きた乗車姿勢を実現。新設計の2ピースシートはライダーとパッセンジャー両方の快適性を向上したほか、ライダー側は工具不要で高さを20mm調整可能だ。また、パッセンジャーシートは前後長が40mm延長され、新設計タンデムグリップとともに快適性を高めている。このほか、ステップも改良された。
よりツーリング適性を高めたGTは、標準車より90mm高いウインドスクリーン(60mm幅で高さ調整可能)、防振ラバーを貼付したステップ、3段階に調整可能なグリップヒーター、センタースタンドを標準装備する。
YAMAHA TRACER 7/ TRACER 7 GT[2025 EU model]
新世代スイッチギアと5インチTFTディスプレイ
5インチフルカラーTFTディスプレイは新型になり、無料のガーミン製アプリをインストールしたスマートフォンと連携すればメーター上でターンバイターンナビゲーションを表示可能。ディスプレイの横にはスマホ充電と接続に便利なUSB-Cソケットが設置される。
ハンドルバースイッチは、先進のフレキシブルプリント基板(FPCB)を用いて直感的に操作できるレイアウトを採用し、コンパクトなデザインを維持しつつ、親指と人差し指で自然に操作できるように設計されたという。
このほか、ウインカー機能は車線変更時に3回点滅または連続点滅を選択できる機能、急ブレーキ時にハザードランプを点灯させる緊急停止信号(ESS)、15秒後または150メートル走行後にウィンカーを自動消灯する機能などが加えられた。
ボディデザインも刷新され、最新トレーサー9シリーズよりも控えめながら洗練された顔立ちといったコンセプトは継承する。
参考までに、英国における価格はトレーサー7=8804ポンド(日本円換算約170万円・5/20現在)、トレーサー7 GT=1万104ポンド(約191万1000円)。同シリーズが日本に導入される可能性は低いだろうが、ちょうどいいクロスオーバーツアラーが欲しいというライダーにはなんとも魅力的に見えてしまう……。
YAMAHA TRACER 7[2025 EU model]
YAMAHA TRACER 7[2025 EU model]Redline
YAMAHA TRACER 7[2025 EU model]Midnight Black
YAMAHA TRACER 7 GT[2025 EU model]
YAMAHA TRACER 7 GT[2025 EU model]Icon Performance
YAMAHA TRACER 7 GT[2025 EU model]Tech Black
主要諸元■全長2135 全幅875 全高1330-1390【1425-1480】 軸距1495 シート高830-850【845-865】(各mm) 車重203kg【212kg】■水冷4ストローク並列2気筒DOHC4バルブ 689cc 73.4ps/8750rpm 6.9kg-m/6500rpm 変速機6段 燃料タンク容量18L■タイヤサイズF=120/70ZR17 R=180/55ZR17 ※諸元は欧州仕様/【 】内はGT
TRACER 7 のディテール
TRACER 7 GT のディテール
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
最新の関連記事(ヤマハ [YAMAHA] | 新型アドベンチャー/クロスオーバー/オフロード)
総合力を高めたスポーツツーリング 欧州でのみ販売される「TRACER 7」および「TRACER 7 GT」の2025年モデルが登場した。マイナーチェンジを受け、心臓部を共有する最新MT-07と同様に電[…]
GT+にはY-AMTを標準装備 ヤマハは、今夏発売と予告していた新型「TRACER9 GT+ Y-AMT」を2025年5月28日に発売すると正式発表。今世代のトレーサー9 GTシリーズでモーターサイク[…]
“カスタマイズコンセプト”というわりにはライトカスタムで…… ヤマハは、大阪モーターサイクルショーで「オフロードカスタマイズコンセプト」なる謎のサプライズ展示を敢行。これがさまざまな憶測を呼んでいる。[…]
ヤマハは、新型「テネレ700」の発売に合わせ、シート高が約30mm下がるローシート&ローダウンリンクを装備した「アクセサリーパッケージ Ténéré700 Low」をヤマハモーターサイクル エクスクル[…]
“つながる”機能搭載新の7インチTFTディスプレイほか変更多数 ヤマハが新型「トレーサー9 GT」を発表した。これまで上位グレード『GT+』の専用装備だった7インチTFTディスプレイを採用したほか、先[…]
最新の関連記事(ヤマハ [YAMAHA] | 新型大型二輪 [401〜750cc])
2025新型「MT-07」について概要を知りたいなら… こちらの記事をチェック。2025年モデル最大のトピックといえるのは、MT-09に続きクラッチ・シフト操作不要な「Y-AMT」仕様をラインナップし[…]
総合力を高めたスポーツツーリング 欧州でのみ販売される「TRACER 7」および「TRACER 7 GT」の2025年モデルが登場した。マイナーチェンジを受け、心臓部を共有する最新MT-07と同様に電[…]
大型二輪免許は18歳から取得可能! バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制限)があり、原付以外には“AT限定”免許も存在する[…]
車体の刷新でスポーツ性を大幅強化 今回の倒立フォーク化&ラジアルマウント化のモデルチェンジでは、本来約4.5kgの重量増になるところを、MT-07ならではの軽さに拘って各部を軽量化。車体のねじれ/縦方[…]
ヤマハは、新型「テネレ700」の発売に合わせ、シート高が約30mm下がるローシート&ローダウンリンクを装備した「アクセサリーパッケージ Ténéré700 Low」をヤマハモーターサイクル エクスクル[…]
人気記事ランキング(全体)
日本を代表するツーリングロードのティア表だっ! 「次のツーリングは、どこへ行こう?」 そんな嬉しい悩みを抱える全てのライダーに捧げる、究極のツーリングスポット・ティア表が完成した。 ……いや、そもそも[…]
Z1、GPz900R、Ninja ZX-9Rから連なる“マジックナイン”の最新進化系 カワサキは、948cc並列4気筒エンジンを搭載したスーパーネイキッド「Z900」および上級モデル「Z900 SE」[…]
幻のヤマハロータリー〈RZ201〉 1972年東京モーターショウの最大の話題は彗星のように登場したこのローターリー車だ。水冷・横置きツインローターを搭載、また前輪とともに後輪にもディスクブレーキを採用[…]
涼しさの心臓部。それは「素材」と「構造」の魔法的組み合わせ うだるような暑さと、じっとりと肌にまとわりつく湿気。毎年繰り返されるこの季節に、多くの人が少しでも快適に過ごせる服を探し求めている。そんな中[…]
機能性を損なうことなく利便性を高めた、期待の新製品 おたふく手袋は、長年、多くのプロフェッショナルから信頼され続けている老舗軍手メーカー。同社が展開する「BODY TOUGHNESS(ボディタフネス)[…]
最新の投稿記事(全体)
オートマ・AMT&ベルトドライブ採用の250ccクルーザー! 自社製エンジンを製造し、ベネリなどのブランドを傘下に収めることでも知られる、中国・QJMOTOR。その輸入元であるQJMOTORジャパンが[…]
『ヤングマシン電子版7月号』WEBマガジンの閲覧も読者プレゼント応募も”無料”! 現在、当サイトのトップページに掲載中の『ヤングマシン電子版7月号』において、豪華商品が当たる読者プレゼントを実施中だ![…]
Paceプロジャケット:高い安全性と通気性を両立 前面のMロゴがスポーティな印象を与える新作ジャケット。伸縮性と耐摩耗性に優れたアウター素材が、ワインディングからロングツーリングまであらゆるシーンで動[…]
ドリームはホンダ初の本格バイク 1947年のA型からプロトタイプのB型(1948年)、エンジンに加え自転車フレームも初めて自社製としたC型(1949年)を経て1949年8月に登場したのがドリームD型と[…]
K-2439 フルメッシュロングジャケット:スタイルと機能を両立するツーリングジャケット 腰までしっかりと覆う安心感のあるロング丈でありながら、後襟から袖口へ流れるように入ったラインデザインと、ウエス[…]
- 1
- 2